県議会一般質問が始まりました。午前2人の後昼食の休憩時間を利用して、平成22年度の第3回防衛セミナーが開かれ、講師に航空自衛隊新潟救難隊長兼新潟分屯基地司令の1等陸佐 鮫田 渉氏より「自衛隊の航空救難体制について」の講演を聞きました。ちなみに鮫田司令は元F4フアントムのパイロットだそうです。
午後1時から質問が再開され最初に自分の登壇となり、本日は5人が質問しました。
質問の要旨は以下の通りです。長くて恐縮ですが最後に救命救急センターの設置について、県議会で初めて具体的な提言を行いましたので、是非お読み頂きたいと思います。
全23問
Ⅰ、知事の政治姿勢について
Q1 国勢調査によれば、本県の人口減少が続く中で、弥彦村や聖篭町のように人口増加しているところもある。その弥彦村や聖篭町の人口については、県外との転出入の状況はどの様になっているのか伺う。
A1、平成17年10月から22年9月までの5年間トータルの社会動態の内県外との人口移動は、弥彦村が転入者238人に対して転出者310人で、転出者が72人多くなっており、聖篭町も転入者1381人に対して転出者1382人で、転出者が1人多く、両町村とも、県内での人口移動は転入者が転出者を上回り、社会動態全体として増加となっている。
Q2、市町村の子育て支援策等の取り組みにより人口が増加しているところもあるが、近隣市町村からの人口移動だけでは県全体の人口減少を止めることには直結しないと考えるが、知事の所見と併せ今後の人口減対策について伺う。
A2、市町村の子育て支援対策等の充実は、近隣市町村からの人口移動だけではなく、安心して子育てできる環境や定住環境の整備など魅力ある地域社会の実現につながり、将来の出生率の向上や県外への転出抑制も期待したいと考えている。
県としても、安心して子供を産み育てる環境整備や健康長寿の実現に向けた取り組み、若者の定住促進対策、教育環境の充実などに加えて、将来の県民所得の向上や、人口の増加、雇用の拡大につながる「新成長プロジェクト」を推進していく。
Q3、昨年10月首都圏在住者を対象にした「首都圏以外で住んでみたい道府県は」という調査で本県は25位という結果であった。県としてランキングアップを図ることが交流人口の拡大につながり、やがては住んでみたいにつながると考えるが、この調査結果について知事はどのように受け止めているのか伺う。
A3、20位台で足踏みしている状態から一歩抜け出すためには、新潟のイメージアップに加え、多面的なアプローチが必要と考える。新潟に行ってみたい、住んでみたいと、より多くの方から新潟を選んでもらえるよ、産業・教育・福祉など様々な分野において創意工夫し、本県独自の新たな価値を提案していくことが極めて重要であると受け止めている。
Q4、重点施策の一つである「選ばれる新潟県づくりを進め、人口の自然減・社会減に対応する」となっているが、新規の具体的事業について伺う。「交流人口拡大推進事業」の具体的な目標をどのように見込んでいるのか。
A4、県内ご当地グルメ選手権のの開催を通じ食の魅力を発信すると共に、今年度実施した観光地満足度調査の結果に基づき、改善アドバイザーを派遣することによって、宿泊施設の満足度を高めるための取り組みを促すこととしている。
これらを含め、観光地としての魅力を高めて、交流人口の拡大を図ることで、政策プランで目標としている、平成24年度に中越大震災前の観光客入込客7356万人を上回るという目標に実現に向けて取り組んでまいりたい。
Q5、「子供スキー天国推進事業」の具体的な目標をどのように見込んでいるのかを伺う。
A5、スキー人口の底辺拡大のためには、次代を担う子供たちのスキー体験機会の増加が重要であります。
このため多くの子供たちをスキー場に呼び込むためのモニターツアーを実施すると共に、初心者向けスキーレッスンを継続・拡大してまいりたいと考えている。
Q6、「心の絆でつながった交流拡大事業」の具体的な目標をどのように見込んでいるのか伺う。
A6、防災グリーンツーリズムの取り組みとして、県内市町村と友好都市等の関係にある首都圏自治体にも交流を拡大すると共に、いざという時に備えBCMの体制整備に取り組む首都圏企業も対象とし、平成24年度の交流団体の組織員5万人を目指して取り組みを進める。
Q7、「地域に根ざすキャリア教育推進事業」の具体的な目標をどのように見込んでいるのか伺う。
A7、本事業は、2年間にわたり実施してまいりました「キャリア教育パイロット事業」の成果を全県に普及するため、北欧などの先進国の優れた点も参考にしながら、市町村が行う小中高を系統づけた学習計画の作成や、地域の協力体制作りなどを支援するものであります。
子供たちの発達段階に応じて、自分の生涯設計が出来る力を育んでいくことにより、モラトリアム進学やニート・フリーターを生み出すことの無いよう、社会から求められる人材の育成につなげてまいりたいと考えている。
Q8、これまで県内企業の持つ優れた技術や製品を広く国内外にアピールするため見本市等への出展支援などに取り組み、成果を上げてきた。今後は最終的に住んでみたいと思う人を増やすためにも、県内で工業関係の展示会を開催することにより、産業製品や技術に加えてその様な製品を生み出す新潟県の環境や歴史を理解してもらうことが、産業の活性化に繋がると考えるが知事の所見を伺う。
A8、県では大手企業とのマッチングや大規模展示会などで、歴史に裏打ちされた県内企業の持つ高い技術力を活かした製品を広く紹介することにより、本県産業の強みを内外にアピール出来ているものと思う。なお県内展示会の開催については、商談機会が限られると言う課題もあるため、効果的な展示会の在り方について研究してまいりたい。
Q9、「新潟県優れたものづくり条例」にも関連するが、新潟県の優秀な技術や企業などへの表彰を行うことにより、展示会でのPRや関心を呼ぶことにもつながると考えるが所見を伺う。
A9、県ではこれまでも産業振興などに寄与する技術開発を行った功労者に「新潟県技術賞」を授与している他、世界的に注目される優れた技術を有する企業などを「世界にチャレンジするものづくり企業」として選出し、冊子やホームページで広くPRしているところです。今後とも高い技術力を持つ企業等を発掘・顕彰し、広くアピールすることにより、県内企業の知名度やブランド力の向上、関連取引の拡大につなげてまいりたいと考える。
Q10、日銀は資源や食糧など国際商品市況が高騰していることを織り込んで消費者物価指数の見通しを上方修正し、「デフレ脱却への展望は拓けている」と示している。しかしデフレの背景にある日本経済の需給ギャップがまだ20兆円もあると言われ、深刻な需要不足が解消される見通しが立たない中で、商品市況の上昇は企業収益に打撃を与え景気回復に大きな足かせになると考えるが所見伺う。
A10、デフレとは経済全体の価格の変動を表すGDPデフレーターがマイナスの状態を指します。つまりデフレ脱却と言うのは、商品市況や消費者物価指数が上がることで無く、売り上げ・賃金、土地や株の価格が上がり、購買力が高まることを意味するもので有り、企業収益にもプラスになるものです、したがって本格的な景気回復には、原油・原材料価格以上に企業の売り上げが増加することが重要であり、そのために的確なマクロ金融・経済対策が講じられるべきものと考えている。
Q11、TPP協定交渉において知事は「主食である米は除外すべきであり、除外が認められない場合には交渉から撤退し、EPA党の二国間協定を模索すべき」と発言されている。例外措置が認められることは極めて楽観的で危険ではないかと考えるが、TPPに関する認識を改めて伺う。
A11、TPP交渉においては食料安全保障を確保する観点から、主食である米は関税撤廃の例外措置として譲るべきではないと考えている。
関税の取り扱いについて政府が収集した情報によれば、重要品目であっても段階的な関税撤廃が原則とされますが、一方で各国の状況によって個別の対応を考える必要は認めるとの考え方を示す国もあるとされています。
貿易交渉は国家安全保障も含めた国益の調整で決まるものと考えており、政府の説明資料でも「除外は極めて限定的だが、最終的には交渉次第」と述べられ、また、TPPの基礎となるP4協定においても、例外措置を認めている品目や国も存在することから、戦略的に交渉すれば米が関税撤廃対象のの例外となる可能性が有ると認識している。
Q12、貿易環境を考えると、政府はTPPよりも先に円高対策をしべきと考えるが知事の所見を伺う。
A12、わが国は世界でも自由貿易によって恩恵を受けている国の一つであり、このため高い国際競争力を持ち反映していくには、経済連携の推進と円高の是正はいずれも重要な課題であり、政府においてそれぞれ的確に対応することが必要と考えている。
なお同時に対応しながらも、議員がお考えのように円高対策の方が、的確なマクロ金融・経済財政政策を講じることで、先に効果を表すものと考えております。
Q13、TPP協定により納税者の理解と合わせ、農家への直接支払いなどで大幅な農業予算を確保する事が必要になると言われている。しかし今の財政がひっ迫している状況の中で手厚い農業支援策は不可能に近いことであり、農業振興との両立は非常に難しいと考えるが知事の所見を伺う。
A13、我が国の主食である米は、食糧安全保障の観点から、また将来に膨大な費用を発生させるリスクを負うことにもなる事から、関税撤廃の例外措置として譲るべきではないと考えている。
一方、関税撤廃の影響のある品目については、他産業並みの所得が確保できるしっかりとした国内対策の構築が不可欠であります。 TPPと農業振興を両立するためには、国境措置と国内対策を組み合わせて実施する事が重要です。また現在実施されている所得補償制度を効率的な仕組みにすることや、貿易で得られた利益を財源の一部にするなど、的確な制度設計をすれば、両立は可能になり得るものと考えている。
Q14、知事は1月20日に民主党や関係省庁を訪問し、TPP協定への対応について要望してこられたと聞いているが、民主党や省庁訪問時の反応はどうであったかを伺う。
A14、先般民主党、関係省庁を訪問した際には、本県要望の趣旨についてご理解いただいたものと思っている。
Q15、TPP協定参加は国家の言く末を左右する大問題であり、政府として国民が議論を深められるよう統一的な見解を提示してもらう事が重要と考えるが、引き続き政府に強く申し入れをすべきと考えるが知事の所見を伺う。
A15、先般民主党および関係省庁に対し、個々の産業分野における課題について冷静に分析すると共に、食糧安全保障の問題も含め、国民的な議論を行い日本全体の国益にかなう結論を出すべきとの要望を行ったところです。
県としては政府として統一見解が示され、国民的議論が深まるよう、今後とも国に働きかけてまいりたいと考えている。
Ⅱ雇用問題について
Q16、昨年発表された「労働経済白書」では、今回の景気後退は「過去2回の景気後退に比べ、国内総生産・賃金とも最大の減少率であったが雇用者の減少率は前回の景気後退より小さく、雇用削減は極力回避されそのほとんどが賃金調整により吸収された」として企業の雇用維持の取り組みを評価している。また今後は高齢化に伴い「保健医療・教養娯楽などの支出が拡大し、関連産業とそこにおける雇用を拡大させると予測される」としているが、知事の所見を伺う。
A16、まず労働経済白書に関する所見についてでは、本県においても過去2回の景気後退に比べ賃金減少率は大幅に拡大したものの、雇用者の減少率は比較的小さくなっている。
賃金の減少の要因としてはデフレの影響も考えられるが、今回の景気後退においては雇用調整助成金の活用状況などから、企業における雇用維持に向けた努力もなされているものと認識している。
又当面高齢者人口が増加する中で、保健医療分野での消費支出の拡大が見込めるかどうかについては研究してみたいと考えている。
Q17、今後雇用を拡大させると予測されるこれらの保健医療分野お伊比教養娯楽分野に関する産業として、本県では具体的にどの様な産業が想定されるのか伺うと共に、それについてどの様な施策が考えられるか伺う。
A17、健康・福祉・医療分野はもとより、農業・建設・食品・観光名だ幅広い分野が想定されると考えている。
県としては引き続き、健康ビジネス連峰政策や観光振興などの施策を進めると共に、基金事業を活用した医療関連分野の人材育成や、観光の担い手づくりに等に取り組んでいく。
Q18、総務省の「就業基本調査」によると日本の就業構造が大きく変化し、製造業や建設業などモノ作りに携わる人が減少しており、これは生産拠点が海外にシフトされた事や公共工事の減少が背景にあると考えるが、本県における製造業と建設業の有業者数と、県内全有業者数に占める割合及び全国と比較しての傾向を伺う。
A18、平成19年の「就業構造基本調査」によれば、製造業では24万6500人、建設業では14万300人となっており、議員ご指摘の通り全国と同様に減少傾向にあります。
また県内全有業者数に占める割合については、製造業が19,7%と全国と比べ2,1ポイント、建設業が11,2%で2,9ポイント高くなっている。
Q19、本県での雇用のミスマッチの状況を伺うと共に、どのような対策が考えられるのか伺う。
A19、新潟労働局によると平成22年12月の有効求人倍率は、職業別では「専門・技術職」が1,25倍であるのに対し、「事務職は」0,18倍となっており、又分野別では「医療・介護分野」が1,61倍となるなど、雇用のミスマッチが生じている。
県としては職業訓練による専門的な能力の開発や、基金事業を活用した医療・介護分野等の人材育成などに取り組むと共に、合同企業面接会や定期的な企業見学会、中小企業のPR力強化に向けたセミナーの開催等を通じてミスマッチの解消を図っていく。
Q20、行政から教育・経済界と幅広いメンバーからなる「新潟県雇用戦略会議」を2月10日に開催し、雇用拡大に向けた戦略や効果的な雇用対策の実現を図る事としているが、具体的にこの会議でどの様な成果を期待しているのか伺う。
A20、先ずは産業界・労働界・NPO・教育機関などの関係者が問題意識の共有を図り、目指すべき地域社会像について共通認識を深めたいと考えている。
そのうえで中・長貴的な観点から、ちいき・しゃき会が求める人材の育成や、新たな雇用の創出策などについて議論を行い、更なる雇用拡大につなげていきたいと考えている。
Ⅲ救命救急センターについて
Q21、2月18日県央救命救急センター整備に関する合同会議が開催され、規模等の判断は県に一任されると報道されているが、運営主体や設置場所等愚痴的な議論が無かったため、実現には今後も時間を要すると考える。1日も早い完成を待ちの座んでいる多くの市民がいる中で、知事はこれまでの合同会議の経緯をどのように認識しているのか伺う。
A21、本会議は県央地域の救命救急センター及び併設病院のあるべき姿について、精力的な議論を重ねてきた。
関係する全市町村長、医療関係者の間で合意が形成されたことで、具体的な医療提供体制を検討するという次のステップに進む事が出来る条件が整ったものと認識しており、救命救急センター及び併設病院の実現に向け前進があったものと受け止めている。
Q22、今回の会議終了後、地元増しこみによると部長は「しばらく時間をいただきたい」と発言されたと聞いている。一刻の猶予もなく速やかに結論を出すべきと考えるが改めて部長の認識を伺う。
A22、報道された発言については、今後の具体的な検討体制などについて改めて決める必要があるという趣旨で申し上げたものです。先ほど知事がお答えした通り、救命救急センター及び併設病院の整備を含めた県央地域の医療体制を1日も早く実現していくため、速やかに検討を進めていくことが必要と認識している。
Q23、県央地域の医療体制の崩壊を防ぎ且つ構築に向け、先ず第一段階として老朽化が著しく近い将来改築を迫られ、また赤字経営でもある県立加茂病院と吉田病院の機能を、一部残して既存病院の約300床ある労災病院に統合する事が、現段階での立地や財政或いは運営面で考えられる最善策と考えるが知事の所見を伺う。
A23、今後具体的な医療提供体制を取りまとめていく中で、議員のご提案も一つの参考とさせていただく。
以上23問、最後までお読みいただきありがとうございました。